モノクロに君が咲く
冬を超え、春が芽生える。春が過ぎれば、夏が顔を出す。やがて秋が世界を跨ぎ、ふたたび冬がやってくる。そうして毎年のように巡る四季のなか、はたして何度、出会いと別れが繰り返されるのだろうか。
「結生」
呼び止める声に振り返れば、そこにはハル兄が立っていた。相も変わらず雅な着流し姿で小綺麗にしているが、その顔にはどこか複雑そうな表情が浮かんでいる。
「卒業式、行けなくてすまないね」
「……べつに来てほしいとか思ってないし」
「父さんも兄さんもきっと行きたかったと思うよ。なんで今日に限って、総会があるのかな。次期当主発表会とか、今さらいる? みんな知ってるでしょうに」