モノクロに君が咲く
◇
ピコン、ピコン。
規則正しく鳴り続ける音に引き寄せられて目が覚めた。深い海の底から浮き上がった意識は、しばらく水面をゆらゆらと揺蕩ってから、ようやく光を浴びる。
「……小鳥遊さん?」
なによりも先に視界に映りこんだのは、銀。
ゆっくりと睫毛を伏せて、ふたたび開けてみる。そうして幻覚でないことを確認した私は、ひどく不思議な気持ちで、まだ痺れの後味を引きずる唇を動かす。
「……せん、ぱい?」
「うん。目、覚めたんだ。よかった」
「ここは……」
「病院だよ。君、学校で倒れて救急車で運ばれたの。そこまで時間は経ってないけど」
病院。倒れた。救急車。