【短編】悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
重厚な作りの焦茶色の扉を開き、毛足の長いカーペットの上を足跡なく進む。
執務机で難しい顔をしているお父様に向かって宣言した。
「お父様、王太子殿下との婚約解消を希望いたします」
「……は? お前、いったいどうした? どこか頭でも打ったのか?」
お父様の言いたいことはわかる。
以前の私からは想像できない発言だろう。それなら言い方を変えよう。
「私は目が覚めたのです! 今までは王太子殿下をお慕いするあまり、仲良くされていた女性を自ら進んで排除してまいりましたわ。ですが、そんな狭量な女は王太子妃にふさわしくないのです! 排除したご令嬢たちに顔向けできませんので、このまま国を出て行きます!!」
ここまで一気に言い切った。
一年半前から浮気相手の排除をやめて心から謝罪して回り、代わりに私が開発した手作り化粧水を普及し、事業として商売できる目処まで立てた。
拠点は帝国にしてすでに住まいも用意してあり、自宅圏事務所の小さな一軒家は私好みの内装で整えた。帝国を選んだ理由は、単純に市場規模が大きいからだ。
執務机で難しい顔をしているお父様に向かって宣言した。
「お父様、王太子殿下との婚約解消を希望いたします」
「……は? お前、いったいどうした? どこか頭でも打ったのか?」
お父様の言いたいことはわかる。
以前の私からは想像できない発言だろう。それなら言い方を変えよう。
「私は目が覚めたのです! 今までは王太子殿下をお慕いするあまり、仲良くされていた女性を自ら進んで排除してまいりましたわ。ですが、そんな狭量な女は王太子妃にふさわしくないのです! 排除したご令嬢たちに顔向けできませんので、このまま国を出て行きます!!」
ここまで一気に言い切った。
一年半前から浮気相手の排除をやめて心から謝罪して回り、代わりに私が開発した手作り化粧水を普及し、事業として商売できる目処まで立てた。
拠点は帝国にしてすでに住まいも用意してあり、自宅圏事務所の小さな一軒家は私好みの内装で整えた。帝国を選んだ理由は、単純に市場規模が大きいからだ。