夏と冬のココアはご用心
外はもうすっかり真っ暗だ。冬は真っ暗になるのが早い。

「家に帰らなきゃ……」

明日は二限だけ講義がある。単位に関わる授業のため、ここでのんびり横になっているわけにはいかない。あたしはベッドのそばに点々と落ちている服を拾い、着替え始めた。

「美月、目が覚めました?」

着替えを終えると同時に寝室のドアがノックされ、昴さんが顔を見せる。そして着替えを済ませたあたしを見て、不思議そうな顔をしていた。

「あれ?着替えたんですか?」

「明日、講義があるので、昴さんの家にお泊まりするわけにはいかないんですよ」

あたしがそう言い、持って来たバッグを取りにリビングへと向かう。だが、体が重くうまく進めない。

「美月、まだ休んでいてください。僕がバッグを取って来ますから」

昴さんはそう言うと、あたしが答えるよりも前に行動に移した。あたしの体はヒョイと抱えられ、ベッドに戻される。あたしは女性にしては身長が高い方で体重もそこそこあるはずなのに……。
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