夏と冬のココアはご用心
あたしは、フロストシュガーの入った瓶をドンと昴さんの前に置く。昴さんはニッと口角を上げた。

「フロストシュガーに薬が入っていたら、僕もおかしくなっていたはずですよ?だって僕はいつも一杯は必ずココアにフロストシュガーを入れているんですから」

「そうですね。何もないココアにこのフロストシュガーを入れれば、二人仲良くおかしくなっていました。ーーーですが、そうならない方法があるんです。それは、ココアに事前に大量の砂糖を入れておくことですよ!」

一定量の水に溶ける物質の質量には限りがある。つまり、ココアに最初から何も入っていないフロストシュガーを入れておけば、あたしと飲んだ時に入れたフロストシュガーは解けず、昴さんがおかしくなることはない。

「どうですか?あたしの推理」

あたしがそう言うと、昴さんは優しく微笑んだ後、立ち上がる。

「完璧な推理だよ」

そう言った後、どちらからともなく唇が触れた。





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