夏と冬のココアはご用心
「昴さん、答えがわかっちゃいました!犯人が教えちゃダメじゃないですか〜。薬なんて入ってないんでしょ?」

昴さんは何も言わず、ただ微笑んでいる。あたしは一口ココアを飲んでみる。濃厚な甘さが口に広がる。うん、おいしい!

「いつものココアです!」

「それが美月の答えですか、なるほど……。ところで、最近大学はどうですか?」

昴さんは微笑みながら話を振ってくる。大学は毎日色んなことが起きて、刺激がたくさんあって、話したいことはたくさんある。講義のこと、友達のこと、サークルのこと、バイトのこと、あたしはたくさん昴さんに話していく。

昴さんは、話すことより相手の話を聴く側に回ることが多い。穏やかな表情を浮かべながら相槌を打ってくれるから、たくさん話してしまう。

「あっ、ごめんなさい。喋りすぎちゃいました」

気付いたら十分以上喋っていた。自分の目の前に置かれたアイスココアは、もう氷が溶けてしまってる。あたしはそのココアに口をつけ、ゴクゴクと飲んでいく。
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