10年ぶりの再会は、告白からスタートで。
「あっ、すみません」

「僕のほうこそ、ごめんね」

 同じく教科書を取ろうとしてた橘先生の手と、私の手が触れてしまった。

「じゃあ、君がページ捲ってくれる?」

「あっ、はい……」

 今の一瞬で、私は妙に動揺している。ただ少しだけ手が触れただけなのに。ただの家庭教師の先生と。

 私は動揺しながらページを捲っているせいか、脳内で捲ろうとしているページと、実際に手で捲っているページがバラバラだ。
 橘先生はそんな私の手をじーっと見ていた。手に視線が集中されるのも正直、困ってしまう。
 その視線に耐えられなくなった私は、ページを捲る手が止まった。

「……ん? あれ? どうしたの? 今授業でやってるのが、そのあたりなのかな?」

「いえ……そうじゃないんですけど……その、人の手をじーっと見るのは癖ですか?」
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