10年ぶりの再会は、告白からスタートで。
「えっ、あっ……そう……なんですね」

 そんなことを言われ、私はどう反応すればいいのか分からない。今の話だと、橘先生が私のことを気になってる、って意味に捉えてしまう。
 数学の教科書を意味なくペラペラ捲りながら、頭の中はショート寸前だ。

「性別関係なく、なんだけどね」

 ……はい? そんな後出しじゃんけんみたいな一言ありですか。

 変に動揺した私の焦りは一体なんだったんだ……。

「気になるっていうのは、普通に人としてって意味だよ。変に意識させちゃってたらごめん。……なんか、君……耳が真っ赤だからさ」

 その言葉に私はさらに熱くなった。耳だけじゃなく、もはや全身から湯気が出そうな勢いだ。

 橘先生、それは計算なのか天然なのか。
 今、数学の話をしてるだけに、計算か?

 ……なんてバカな話は置いといて。
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