10年ぶりの再会は、告白からスタートで。
 だから、近いんですってば!

 私は少しのけ反り気味で、言葉を返した。

「ど、どういう意味ですか? なんかもう勉強どころじゃないんですけど」

 動揺しまくりの私は、数学どころじゃなかった。

「じゃあ、今から少しだけ……昔話でもしようかな? 君は全く覚えてないみたいだしね?」

「昔話……?」

 となりでニコニコ笑いながら、昔話を始めようなんていう家庭教師がどこにいるんですか!?

 ……ここにいたか。


 体勢を整えて、話し始める橘先生。

「少し長くなるけど、聞いてくれる?」

「はい、それはもう……はい……」

 反応に迷って、「はい」を二回も言っちゃったよ。
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