10年ぶりの再会は、告白からスタートで。

「明日香、あなたまた赤点に近い点数だったの？」

　なんでそこまで詳しく知っているのか、私はそこを知りたいんだけど。
　私の学校、いや……クラスにスパイでもいるのか!?

「これでも頑張ったんだよ？　お母さん」

「明日香の『頑張った』はまだまだ努力が足りないのよ。せっかく、進学校に入れたんだから頑張ってちょうだいね」

　それだけ話すと、夕食の準備のためか、母はキッチンへと戻ってしまった。
　リビングで呆然とする私。

「……頑張ってるのに」

　そう呟いた私の声はもちろん母には届いていない。

　すると、何か思い出したのか母が私の元へと再びやって来た。

「そうそう、言い忘れてたけど……明日から家庭教師の先生が明日香の勉強を見てくれることになったから、そのつもりでいてね。橘和弥(たちばなかずや)さんって人よ」

「家庭教師!?　そんなの頼んでないんだけど」