10年ぶりの再会は、告白からスタートで。
「いいです! 話さなくていいです!」

「会ったのが三回目って言ったけど、あながち嘘でもなかったでしょ?」

「そのようですね……。でもごめんなさい、本当に覚えてなくて」

 軽く頭を下げて話す私に、橘先生は優しく笑った。

「あぁ……それは気にしなくていいよ。覚えてなくて当たり前だと思うし。そんな親同士の用事で一緒に来てた男の子のことなんて、覚えてる方が無理あるでしょ」

「それは……まぁ、そうですね」

「それに今すぐどうこうなりたいとかそういうことは思ってないし、君からすれば初対面同然なわけだしさ?」

 色々分かってくれてるんだか、どうなんだか。
でもこんな風に昔の話をされると、気にしないようにしてても気になってしまうのが人間だ。
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