10年ぶりの再会は、告白からスタートで。
 知り合いの息子さん? ここに来るのが三回目?
 母からそんなこと一言も聞いていない。『橘和弥』さんという名前だけだ。

「そうなんですか!? それは初めて知りました!」

 あまりの驚きに、さっきまでのテンション感もどこへやら。少し前のめりになってしまった。

「おっ? 僕のことに少しは食いついてくれたみたいだね」

「別にそういうわけじゃないんですけど……」

「君のお母さんは覚えてないかもしれないんだけどね。結構昔だったから、ここに来たことあるのって」

 あっ……話は続けるんですね、はい。食いついたわけじゃなかったんだけどな。でも前のめりになっちゃったし、聞くしかないか。

「僕が今、大学生だから……十年くらい前かな? 二回とも」
< 7 / 25 >

この作品をシェア

pagetop