悪役令嬢は最後に微笑む
終わりは突然に
始まりがあれば、必ずしも終わりがやって来る。
それは分かっている事だったはずなのに、急に訪れる別れを前に理解が追い付かなかった。
「ちょっと、雅人?!これって一体どういう……!」
「見て分かるだろ。お前との関係はこれまでってことだよ」
腕にべったりとくっついて離れようとしない小柄な可愛らしい女性を連れて歩く、私の彼氏であったはずの雅人は、何の悪気も無さそうにはっきりとそう言ってきた。
歴とした浮気現場を見られておいても尚、反省の一つもなさそうな表情に込み上げてくる怒りと悲しみがぐちゃぐちゃに混ざり合う。
何か言いたいのに、何から言えば良いのか分からない。
そんな私に止めを刺すように雅人が言葉を吐き捨てた。
「はあ……何を考えているか分からない、素直じゃない女の相手なんて疲れるだけなんだよ」
一週間前にも同じことを言われ、喧嘩したままそこから冷戦状態が続いていた。
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