悪役令嬢は最後に微笑む
ずっとこのままも良くないと思って仲直りを含めたデートに勇気を振り絞って誘ってみたけれど、返事は先約があるから無理の一言だけ。
仕方ないと一人で買い物をしていた中、ばったり遭遇したかと思えば、この有様だ。
「最初から金目当てで近づいてたダメ女のお前みたいな女とは今日でおさらばだ。じゃあな」
こちらを振り返ることもなく仲良く寄り添って歩く二人の後ろ姿を見せつけられながら、私は呆然とその場に立ち尽くすしかなかった。
大学を出てからずっと仕事に明け暮れていた私にようやく訪れた恋は、あっけなく散ってしまった。
周りから騙されていると言われていた理由がようやく分かった。ただ良いように利用されていただけの存在だったんだ。
それでも作られた優しさが嬉しくて、愛されようと努力していたはずなのに……どうしてこうなってしまったのか。
思っていることを上手く伝えられない私は、いつも何かと一人空回ってしまう。
この言葉で相手を傷つけてしまうのではないかとそう思うと、自分を犠牲にしたり、何かと自分を押し殺してしまうのだ。それが被害者面をしているだのネガティブに自分に反映されて、素直じゃない女という自分を映し出してしまっていたらしい。
ただ好きな人を想っていたのに……自分はこうもダメなんだろう。