悪役令嬢は最後に微笑む
私は修正力に負けてしまうけど、原作に居ないバルは修正力というものがそもそもかからないから、自由に動けるのか。
確かにバルの前では素直になれるんだから、もしかしたら修正力に打ち勝てるかも……!
「ちなみに、色々と面倒事を防ぐために今の俺の声は使い手以外には聞こえていないから安心しろ。俺はただリサリルの傍に居るだけだと思ってくれればいい」
安心する存在が傍にいるなんて心強い。
周囲から向けられる冷たい視線なんてこれっぽちも痛くない。
神官達に何か問題でも?と訊ねれば、何かを言いたそうな表情のまま彼らの小難しい大精霊の説明が始まった。
でもその話しは聞かなくても、ゲームをプレイした私にはもう分かっていることだった。
この国において大精霊の力は必要不可欠で、大精霊の加護を受けることによって国の安泰は保障されてきた。
精霊の使い手は大精霊の声を聞くことが出来る唯一の存在で、国を脅かす脅威から国を守る責務と、加護を受ける代わりに大精霊の右腕として精霊国に行く定めがある。
その大精霊の声が聞こえるようになるのも力を付けなければ聞こえなくて、この神殿で力を付けるための祈祷と修行を行い、限られた者にしか使えない光属性の魔法を習得していく。