悪役令嬢は最後に微笑む
もしかして……私がプレイした世界≪バットエンド≫は、リサリル……貴方が自分を犠牲にしてまで守りたかったものを守るための世界だったの?
「リサリル……貴方は……」
『わたくしはただ、大切な人を守りたい。だから大精霊様に願った。どうか再び災厄が訪れし時に、わたくしの命と共有する真なる使い手をお守りくださいと。貴方なら、きっとこの災厄を変えられる。だから、お願い――』
そう言って光の粒となって消えたリサリルを、私は静かに見つめた。
ゲームにはなかったバッドエンドというシナリオに、バルという居なかった存在。
私が今居るこの世界は一体どんな世界に居るのかは分からない。
でも、私達の命が繋がれたこの世界で、絶対に終わらせたりしない。
私達の人生をまた不幸になんかしたくないから。だから、負けたりはしない。
それにしたって、リサリルも素直になれなかったなんて……。
「まるで同じ呪いにでもかかっているみたいね」
幸せを願う彼女にそう言うと、心臓がとくんと鳴った。