悪役令嬢は最後に微笑む
前世の私と似たリサリル。今の私は、きっと幸せを掴み取るから、だから前を向いていて。
役立たずのお飾り公爵令嬢と罵られても、最悪なルートだけは歩まない。
でも神殿の修行が始まったとなれば大分ストーリーが進んでいるし、今のバルとの特訓だけじゃもう解決できないかもしれない。そうなると、他の方法も考えておかないと。
「国外に逃げる……?」
でもそれだと、精霊の使い手として暴走したファナを止められる人が居なくなってしまうかもしれないし、リサリルが大切にしたいと思っていた大精霊様を傷つけてしまう可能性だってある。
何より私が一番大切にしたいバルにも危険が及んでしまうのは絶対に嫌だ。
「バルは本当に私の傍に居てもいいのかな……」
私の傍に居て今もバルが傷付いてしまう場面だって出てきている。守りたいものを守る、それはそう簡単に出来ることじゃない。
凄いな、リサリルは。色んな葛藤を抱えながらも、一人戦ったんだから。
でも私も負けないって決めたから、いい方法を絶対に見つけてみせる。