悪役令嬢は最後に微笑む


 そんな事を考え込んでいると、急に体の力が抜けていくような感覚に立っていられなくなった。

 崩れ落ちる体に痛みを覚悟したけれど、私を受け止めてくれた何かの温もりが支えた。

 意識は朦朧としていたけど、その温もりを感じたことはあった。


「……そろそろ潮時か」


 ぼそりと呟かれたその声を聞き取ることは出来たけど、体はもう言う事を聞かずに力が完全に抜け落ちる。重たい瞼が暗闇へと誘う。

 消えていく温もりに手を伸ばそうにも体は言う事を聞いてはくれない。

 意識は朦朧としているのに、どうしてか一人ぼっちになる寂しさが込み上げて来て、温もりに行っちゃ嫌だと言葉にならないまま訴えかけることしか出来なかった。

 きっとリサリルもこんな孤独と戦っていたのかもしれないなんて、そんなことを思いながら私は眠りに落ちた。

 優しい何かにそっと包まれるような穏やかな眠りから目覚めた私は、いつものようにそのもふもふを抱きしめようとしたけど、その感触は何処を探しても見当たらない。

 ばっと飛び起きて、眠気眼を擦りながらバルを探す。



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