悪役令嬢は最後に微笑む


 バルの無事を祈り、互いの命と共鳴した私達の幸せのための選択に頭をフル回転させた。

 修正力がある以上、行動が限られている中で私には一体何が出来るのだろう。

 メインストーリーが反映されない夜は基本自由が利くことが多いけど、出来ることも限られてくるだろうし……。バルを探して――って、もしかしたら、バル自身が私の傍を離れたくて離れたとしたら……?


『何を考えているか分からない、素直じゃない女の相手なんて疲れるだけなんだよ』


 前世に言われた言葉が頭を過ぎる。

 馬鹿ね。そうやって私の心を支配でもしようとしているつもり?

 もう今の、私は昔の私じゃない。私は気高いリサリルなんだから。

 それにバルのことだ。きっと何か意図があって私の傍を離れたに決まってる。寂しい気持ちはどれだけ拭っても拭えないけど、これまでの特訓してきたことを活かして私は前に進まなきゃ。

 私には大精霊様だっている。そうよ、弱気になってはダメ。バルが信じた、私を信じるのよ。
 
 ここから先は自分一人で、リサリルと同じように戦うの。私ならきっと出来る――。


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