悪役令嬢は最後に微笑む


 バルが居なくなったり色々動揺してたけど、もう大丈夫だ。自分の気持ちに素直になれてるのが、何よりの証拠なのだから。


「明後日に行われる披露会には、必ず参加しろ。いいか、必ずだぞ」


「披露会ですか?」


「ああ。急遽執り行われることとなった」


 そんなイベントあったっけ?正規ルートを歩んでいないから、あるかどうかも分からない。

 どうせ行われることが決まっている以上、修正力で参加することは決まっている。

 分かりましたとだけ伝えて、再び祈りに集中していると後ろから囁き声が聞こえてきた。


「そうして平然としていられるのも今のうちだ――」


 それ以上何かを言う事はなく、修行もろくにしないファナを連れてアーサーは神殿から出て行った。

 ほっとする反面、何か嫌な予感がするのは気のせいだと信じたい。

 ただ今は大精霊様に願いを込めて、平和を願うことしかできなかった。


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