悪役令嬢は最後に微笑む


「これらの悪事は全て王家を裏切り、大精霊様に対する許し難い冒涜である!そんな奴に王家を汚されて堪るものか」


 きつい言葉をかけていたのは身に覚えがあるけれど、数々の嫌がらせに対しては具体性が無さ過ぎて何のことを言っているかさっぱり分からない。身に覚えのない濡れ衣だ。

 そして今日のこの披露会のために、昨日急いで準備したであろう私の罪作りには少々無理がある。

 容疑者には釈明が許されているはずだと、何から話したらいいか分からないけどとりあえず口を開こうとするが、そうはさせないと言うかのようにアーサーが口を開いた。


「それにこの女は使い手に選ばれた身でありながら、悪魔と契約を交わし従えていた。大精霊様を汚す大罪人には裁きを下さねばならない!」


 アーサーの言葉に飲まれた会場内の人々は、悪魔という言葉により一層ざわめきを増した。

 会場内に居る人々も味方に付けてまで、どうやら私を陥れたいようだ。


「穢れた大罪人リサリルには、国外追放を命じる!」


 こんな男と結婚しないで済んだのは不幸中の幸いだと言ってもいい。

 でもこのまま国外追放されたら、ファナの暴走によってそれこそ大精霊様に被害が及ぶ。

 この未来を変えたくて色々と奮闘してきたというのに、抗う術を今の私には持ち合わせていない。


< 52 / 61 >

この作品をシェア

pagetop