君の矢印【完】
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side いこい
ガチャーーー
秋の朝、金木犀の香りを運ぶ風が吹いてくる。
一列に並ぶドアが三つ同時に開けられる。
その三つ並ぶドアの真ん中を開けて外に出たのは私、田町いこい(たまちいこい)
「律くん、おはよう!」
右隣のドアを開けたのは神田律(かんだりつ)
今日もだるそうに頭を掻きながら出てくる。
「…はよ。」
まだ目が覚めきってないのか、『お』が発音されてない返事が返ってくるのはいつものこと。
「天音、おはよう!」
次は左隣を見て、今日も美しい私の親友、上野天音(うえのあまね)に挨拶をする。
「おはよう、いこい。」
美しく笑う天音は、本当に朝イチなのかと疑うくらい、凛としていて、透明感のある。
私たち3人は、幼稚園の頃から同じマンションの、301、302、303号室に住む幼馴染。
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