君の矢印【完】
side いこい
「…いこいはさぁ。好きな人いないの?」
天音の言葉に、メロンソーダを吹き出しそうになる。
今日は2人でいきつけのカフェに来た。
「ふえ!?…い、いないよ!」
咄嗟についた嘘。
天音に本当のこと言ったら、きっと応援して、色々仕組んでくれると思う。
でも律くんは天音ことが好きだから、それを良く思わないと思うから。
それにもし律くんが天音に告白でもしたら?
天音は罪悪感を感じてしまうと思う。
だからこの気持ちは2人には秘密のままでいい。
「そうなんだ。」
にしても、び、びっくりしたぁ。
今まで天音にこんな話題振られることなんてなかったのに!
「天音は?」
私の質問にみるみる顔を赤らめる天音。
「わ、私は…目黒のことが気になってるかも…っ」
いつもクールな天音が、恥ずかしそうにもじもじしてる。
かっ、可愛い!