君の矢印【完】


side 律



「田町さん好きですっ、付き合ってくださいっ」



…最悪。




教室はうるさいから、屋上で昼寝でもしようとしたらこれ。




扉を開けようとしたら、聞こえた声。




少し開けて、見てみると見たことねえ冴えない男子と、いこいの姿。




いこいのくせに生意気。



告白なんてされやがって。




「あ、あの…ごめんなさい!」




とんでもないスピードで腰を90度に曲げて謝るいこい。


潔く断ったところは褒めてやってもいい。




「理由聞いてもいいかな?」




断ってんだから、変なこと聞かずに引き下がれよ。



「あのね…す、好きな人がいるの…」




は?なんて言った?



大きい岩で頭を殴られた感覚。



照れくさそうにいう、いこいの声が耳に入る。



俺の目に映るのは、恥ずかしそうに微笑みながら俯くいこいの姿。



耳まで真っ赤にして、



明らかに恋をしている顔だった。


< 13 / 70 >

この作品をシェア

pagetop