君の矢印【完】
side 律
「田町さん好きですっ、付き合ってくださいっ」
…最悪。
教室はうるさいから、屋上で昼寝でもしようとしたらこれ。
扉を開けようとしたら、聞こえた声。
少し開けて、見てみると見たことねえ冴えない男子と、いこいの姿。
いこいのくせに生意気。
告白なんてされやがって。
「あ、あの…ごめんなさい!」
とんでもないスピードで腰を90度に曲げて謝るいこい。
潔く断ったところは褒めてやってもいい。
「理由聞いてもいいかな?」
断ってんだから、変なこと聞かずに引き下がれよ。
「あのね…す、好きな人がいるの…」
は?なんて言った?
大きい岩で頭を殴られた感覚。
照れくさそうにいう、いこいの声が耳に入る。
俺の目に映るのは、恥ずかしそうに微笑みながら俯くいこいの姿。
耳まで真っ赤にして、
明らかに恋をしている顔だった。