君の矢印【完】
あー、本当に最悪だ。
俺厄年だっけ?
なんで俺が告白したわけでもないのに、いこいのこんな情報聞かなきゃいけないわけ?
屋上なんて来るんじゃなかった。
好きな人って、やっぱり目黒か?
「…そっか、気持ち聞いてくれてありがとう。…俺行くね。」
「うん、告白してくれてありがとう!嬉しかったよ!」
今振った相手にそういうこと言うところ。
ある意味残酷だから、やめた方がいいと思う。
振られた冴えないやつが、屋上の出口のこっちに向かって歩いてくる。
無意識に体は動いて、そいつと入れ違いのタイミングで、まだ屋上に突っ立っているいこいのもとへ行く。
そいつとは目が合ったけど無視。
「律くん!?」
振り返ったいこいが、驚いた顔をして見つめてくる。
『い、いつから…!?』と口をぱくぱくさせている。
悪いけど、そんな質問に答えてる余裕はさらさらない。