君の矢印【完】



「俺に合コンに行ってほしくないんだ?」



私の反論は無視して、意地悪に微笑む。



その笑顔にすら、きゅうと胸がなる。



…行ってほしくない。



だって好きなんだもん。





「そうだよ。だから…行かないで、律くんっ」





気がつけば、縋るように律くんの袖を掴みながら言っていた。




「っ、はぁーー…わかった。じゃあ今日は、お前んちで晩御飯ね。」




珍しく、律くんが参ったって顔してる。



耳まで真っ赤だ…



でもよかった。律くんには行ってほしくないもん。




「うん!」



「今日は帰り遅い日だろ?」



「そうだよ!律くんのところもだよね?」




「おう。」




実は、私の両親と、律くんの両親は同じ会社で勤めている。



部署まで一緒だから、忙しい日がいつも被る。



うちの両親が帰ってきてなかったら、律くんの両親も帰ってきてないことが多い。


< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop