君の矢印【完】
言われるがまま、ネクタイを持ってみるけど、
「…出来ない…」
天音がいればよかったのに…
私はネクタイすら握ったことないから、結び方なんて全くわからない。
女の子の制服は、リボンだし。
天音はなんで出来るのか不明だけど。
「出来ないの?使えないなぁ。」
分かってたくせに、そういう意地悪なことをいう律くん。
スルッとネクタイを外す音。
意地悪かつ満足そうに微笑む律くんの左手にはネクタイ。
「!もう学校ないし、ネクタイ直す必要ないじゃんっ!」
「やっと気づいた?バカだね。必死に直そうとしてたもんね。」
「酷い!!」
いつも意地悪だけど、最近特に意地悪な律くん。
憎めないけど、憎い!
もういいや!
律くんなんて無視して、料理しよう。