君の矢印【完】


離れようとするいこい、




強引に引き寄せる俺。




俺の力に敵うわけないじゃん。





「律くんっ、」


助けを求めるように言ってもダメ。


ははっ、顔真っ赤だね。


茹蛸状態だ。




「自分からくっついてきたくせに、何離れようとしてるの?」




「これはっ、つい…」




つい?


つい、男に抱きつくの?



あーもうどうかしてる。気が狂いそう。




早く俺のものになればいいのに。



どっか監禁できたらいいのにね。




離れようとしていたいこいの力が無くなる。




そしてまさかの抱きしめ返してくるという、行動に出た。




何この小動物。




もうダメだ。




我慢できない。




「律くんっ、」




「黙って。」



ムカつくなぁ。そんな潤んだ瞳で見て逆効果だよ。




もうたまらなくなって、自分の唇をいこいのそれに当てる。


さよなら、理性



「んっ、…はぁ、り、…く」 


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