君の矢印【完】
「顔真っ赤だね。」
ふっ、と笑ってみせる。
俺だって余裕じゃないけど、こうでもして繕わないとまた爆発しそう。
「だってっ、突然こんなの…」
顔を赤く染めて、うるうるとした目で見つめてくる。
精一杯、酸素吸うといいよ。
今は照れてるけど、どうせここまでやったって、いこいは明日になれば何事もなかったような顔をして過ごすんだろ。
いこいは昔から掴みどころがなくて、小悪魔で、忘れっぽい。
その性格羨ましい。
「今日、目黒と話してた時も真っ赤だった。」
「…あれは…わけがあって、…見てたんだ。」
わけってなに?
俺に言えない理由があるわけ?
あ、好きな人も俺に言えないもんね。まあ知ってるけどね。目黒が好きなんだって、見てればわかる。