君の矢印【完】
「なんでこんなこと…するの?」
「俺を怒らせたからでしょ。」
目黒と話すのも、突然抱きついてくるのも、全部許せない。
もう限界。
「…律くん怒ってるの?」
「うん。」
怒ってるって言った瞬間あからさまに落ち込むいこい。
もっと落ち込ませたくなる。可愛い。
「どうして…?」
その誘ってるような上目遣いもどうにかならない?
もう一回キスしたいわけ?
こういうところ嫌になる。
「教えない。その足りない頭で精一杯考えればいいよ。」
「…分かった」
素直すぎるだろ。
なんの反論もせずに、考えるらしい。
いつか誰かに騙されそうで怖いわ。
「また同じことしたら、こんなもんじゃ済まないから。」
そんな忠告もあまり耳に入ってないらしい。
それから、料理してる間も、ご飯を食べてる間も、テレビを一緒に見てる時もずっと考えてる顔だった。
ほらね、あんなキスしたことなんてもう忘れてる。
ひとつ考えたら、もうひとつは考えれないんだ。
ところてん方式にも程がある。
ムカつく。何をしたって意味がない。