君の矢印【完】
スースーと寝息が聞こえる。
寝れないって言ってたのに、すぐ寝ちゃった。
昔はよく天音と律くんとお泊まりしてたのに、出来てないなぁ。
律くんの寝顔を独り占めしてるのは、17年生きてきて初めてかもしれない。
いつもは天音もいたもんね。
キューティクルのある黒い髪、長いまつ毛、高い鼻、形のいい唇。
かっこいいなぁ。
こんなに律くんのこと見れることないもんね。
天音じゃなくて、私のこと好きになってくれたらいいのになぁ。
どうして私を呼び出したんだろう。
天音の膝で寝たいはずなのに。
そんなこんな考えていたら、もう戻らないといけない時間。
すごく気持ちよさそうに寝てるけど、起こさないとダメだよね。
「り、律くん…時間だよっ」
体を少しゆすって様子を見る。