君の矢印【完】
んっ、と眉間に皺を寄せる。
早く起きないと授業に遅れちゃう。
天音も咲夜くんも心配するよ?
完璧な律くんだけど、昔から寝起きだけはめちゃくちゃ悪い。
起こしてもなかなか起きないんだ。
昔から、律くんのママが毎朝苦戦してたっけ。
高校生になって、ましになったはずなんだけど…
「律くんっ、」
「ん〜、い、…こ、い…」
まだ寝ぼけてる…
全然、目を覚さない。
でも、消えそうな声で、夢と現実の狭間で私の名前を呼ぶ律くんはとてつもなく可愛い。
いつもは完璧なのにね。
ギャップだよね。
「起きてっ」
「んー…」
ちらっと少しだけ目を開けて、また閉じた。
んー、と身体を伸ばして、寝返りをうち、その長い腕を私の腰に巻きつけた。
「えっ?」
ぎゅうと子供が甘えるように抱きついてくる。
ね、寝ぼけてる!?
どうしよう。