君の矢印【完】
こんなのどうしたらいいの。
ドキドキして、おかしくなりそう。
ふわり、風に乗って香るのは、律くんのシャンプーの香り。
抱きついたまま離してくれない。
ダメだよ。
好きがとまらなくなっちゃう。
ーーキンコーンカーンコーン
やばい、授業が始まっちゃう。
「ん、おはよ。」
私の声では全く起きなかった律くんは、予鈴の音一発で起きた。
ど、どうして!?
するりと、解かれる腕。
「遅れちゃうよっ?」
「そうだな。行こう。」
何事もなかったかのように、立ち上がってあくびをする律くん。
…抱きついてたことにはノータッチ。
すごいびっくりしたのに。
なーんだ。
律くんにとってはどうってないことなんだね。
ちょっと、ショックかも。