君の矢印【完】
お店から出て、律くんと並んで2人で歩く。
「美味しい〜」
まだ鉛のように重たい心を誤魔化すように、ソフトクリームを口に入れて、溶かす。
「いこい、いつもそれ食べてるよな。」
「うん、知ってたの?」
びっくりした。
「当たり前だろ。何その謎質問。」
律くんは私が普段何を買ってるかとか覚えたないと思ってた。
なんか嬉しくて、頬が緩む。
さっきの悩みなんてどうでも良くなっちゃった。
私って単純だな。
「何?」
ソフトクリームを食べすすめていると、じっ、と見てくる律くん。
穴が空きそうなほど、見られてる…
「俺、それまだ食べたことない。」
「うん?そうなんだ。」
…この間食べてたような気がするけど、気のせいかな?
「うん。そうだから、今から食べる。」
そう言って、アイスクリームを持っている私の手を引き寄せて、私のアイスをパクリ大きな一口を食べる。