君の矢印【完】


静かな寒さが冬の近さを感じさせる朝、いつも通り8時ぴったりに玄関のドアを開ける。



「律くんおはよ!」


「はよ」



今日も眠たそうだね。



まだ目が開ききってない。



「天音おはよう!」



「いこい、おはよう〜」




今日も可愛い。



あ、今日はポニーテールなんだ。



「天音今日もよろしく。」




私の前をスルーして毎日恒例のネクタイ結びをお願いする律くん。




「めんどくさぁ〜」


いつもなら見ないように目を背けるところだけど、今日は違う!



「律くんっ、私も練習したからできるよ!」



『え、そうなの!?』と嬉しそうな天音の声。



『その足りない頭で精一杯考えればいいよ。』そう言われたあの日から、ずっと考えてた。



律くんが怒った理由、最近おかしい理由。


< 44 / 70 >

この作品をシェア

pagetop