君の矢印【完】
静かな寒さが冬の近さを感じさせる朝、いつも通り8時ぴったりに玄関のドアを開ける。
「律くんおはよ!」
「はよ」
今日も眠たそうだね。
まだ目が開ききってない。
「天音おはよう!」
「いこい、おはよう〜」
今日も可愛い。
あ、今日はポニーテールなんだ。
「天音今日もよろしく。」
私の前をスルーして毎日恒例のネクタイ結びをお願いする律くん。
「めんどくさぁ〜」
いつもなら見ないように目を背けるところだけど、今日は違う!
「律くんっ、私も練習したからできるよ!」
『え、そうなの!?』と嬉しそうな天音の声。
『その足りない頭で精一杯考えればいいよ。』そう言われたあの日から、ずっと考えてた。
律くんが怒った理由、最近おかしい理由。