君の矢印【完】



「へー、練習したんだ?」



どこか嬉しそうに微笑む律くん。



さっきまで眠たそうだったのに、やけに元気になった。


「この間、律くん怒った理由って私がネクタイ結べなかったからでしょ…?」




「…………は?」



あんぐりとする律くん。




足りない頭で考えた結果、どう考えてもあの時私がネクタイを直すことができないことが原因だと思った。



使えないなぁ、って言われたもん…



使えないから怒っちゃったんでしょ?




「本気で言ってる…?」



「違うの…?」




信じられない、といった表情。



でもそれ以外怒られるようなことしてないもん。



「全然違うんだけど。本当信じられない。」



真顔でそう言われてしまった。


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