君の矢印【完】
はぁ、とため息を大きくつかれる。
そんなに的外れなことを言ってるんだと、落ち込む。
そっか、全然違うんだ…
せっかくお父さんのネクタイを借りて、完璧にできるようにしたのに…
「なんの話してるかわからないけど、これからいこいにしてもらいなよ!」
天音の明るい声。
「まあ、いいや、じゃあいこいよろしく。」
しょうがないからいこいでいいや、そう言われたような気がした。
私じゃない、そういう意味にも聞こえた。
まあいいや、は傷つくよ…
確かによく考えたら、私がネクタイを結べていいことなんてないもんね。
律くんは天音にやってほしいんだから。
バカなんだよ私は。
少し切ない気持ちでネクタイを受け取り、律くんの首に巻く。