君の矢印【完】
するり、律くんによって私の手からネクタイは奪われて、
「はい。」
天音の手におさまる。
ぎゅっと胸が痛くなる。
泣きたい。恥ずかしい。
「結局私!?大体、いこいが覚えるんじゃなくて、律が覚えればいいんだからね?!もー!」
そう言いながら、慣れた手つきでネクタイを結ぶ天音。
なんでも知ってる2人のはずなのに、すごく遠く感じる…
ネクタイをちゃんと結べたら、律くんは私のこと好きなってくれた…?
もうこの2人には敵わないや。
ものの数秒でネクタイを結び終わった天音は、衝撃的な発言をした。
「2人に報告があって……じ、実は昨日、目黒と付き合いましたっ」
顔をまっっっかにして、発表する天音。
い、いつのまにそんなことに!?
咲夜くんからも何も聞いてないよ。