君の矢印【完】

sideいこい


聞こえちゃった…



『俺、天音が好きだ』って。



律くんが直接、咲夜くんに言ってたところ。



心が嫌な音を立てる。




教室の端と端、距離があるからあまりはっきりは聞こえなかったけど、この単語だけははっきり聞こえた。


 
律くん、咲夜くんに宣誓布告したのかな…?



「いこい?大丈夫?」




目の前で、咲夜くんとの馴れ初めを嬉しそうに話す天音が心配そうに私の顔を覗く。




「うん!大丈夫!ごめんねっ」




それから、グランドの声が大きくて2人が何を話してるのか全く聞こえなくなってしまったけど、




律くんが諦める気がないことだけわかった。



ああ、どうしよう。もうだめだ。

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