君の矢印【完】
「行くもん。」
「いこい、いい加減にしろ。」
何それ。
私がこの前の合コン止めたから?
自分は行けなかったのに、私が行こうとしてるから怒ってるの?
それとも、誕生日が早いからってお兄ちゃん気分?
「うるさいな…」
「は?」
「うるさいって言ってるのっ。」
今まで喧嘩なんてしたことなかった。
律くんと意見が合わないことなんて、なかったもん。
でも今回だけは、言うこと聞いてあげられない。
好きすぎて辛いって気持ち、律くんは分からないの?
分かるでしょ。天音が好きなんだから。
「律くんには関係ないでしょっ!」
律くんの目が酷く動揺して切なく揺れる。
口走った酷い言葉に自分でもびっくりする。
「そんなわけないだろ。」
どうしてそんなに悲しそうな顔するの。
「もう…放っておいてよ!」
教室で思いっきり叫んで、騒がしかった教室が一気に静まりかえる。
私の言葉に、腕を握る力が一瞬緩んだ隙を見て、律くんから逃げる。
ダッシュで教室を出て、ロッカーまで走る。
…よかった、追って来なかった。