君の矢印【完】
「うーん。」
数字難しい…
数学の時間が終わっても、問題が解き終わらなくて、休憩時間に突入しちゃった…
「いこいちゃんどした?」
軽く屈伸をしながら、近づいてくる咲夜くん。
授業中寝てたのか、寝癖がついてる。
「これ、わからなくて…終わらない…」
「んー?あ、これはねぇ」
プリントを覗き込むと、隣の空いていた椅子を持ってきて説明してくれる。
いつも授業中寝てるのに、勉強もできるなんてすごい…
天は二物を与えるんだね。
「まずは、この角度を求めて…」
私の筆箱からおもむろにペンを取って、プリントに走り書きする咲夜くん。
そういえば、高校受験の前は、律くんがこうやってよく勉強教えてくれてたっけなぁ。
懐かしいなあ。