君の矢印【完】


「2人で抜けない?」



「へ?抜けてどうするの?」




だって今始まったばっかりなのに。



「どうするって…イチャイチャ?」




ニヤッと笑ったその顔に寒気が走る。



本能的にこの人は危険だと警告が鳴る。




「わ、私トイレっ!」




とりあえず荷物だけ持ってトイレに行った。



どうしよう…



なんかあの人怖いな。でも帰るのは失礼だよね。



せっかくりさちゃんが誘ってくれたんだし、なんとかあの人を避けて最後までいよう!




そう意気込んでトイレを出ると





「いこいちゃんっ」




「うっ、」



チャラ男さん再登場。



嘘…トイレの前までつけて来られてたんだ…


恐怖のあまり震えが止まらなくなる。



なんとか避けて戻ろうとした瞬間、




「壁ドーン」




壁際に追い込まれてしまった。



…律くんに壁ドンされたときはあんなにドキドキしたのに今は吐き気すら感じるほど気持ち悪い。



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