君の矢印【完】
「うぶで可愛いね〜」
よからぬことを考えているような笑顔。
目が笑ってない…
ゆっくり近づいてくる顔。
「嫌っ!!」
何をされるかを悟った瞬間、体が勝手に動いてチャラ男さんを全力で突き飛ばしていた。
…なんかありえないほどの馬鹿力が出たみたい。
急いで床に落ちた鞄を拾い上げでカラオケ店を出て、走る。
お金は後でりさちゃんに払おう!あんな人がいるところずっといれない!
「いこいちゃんっ!」
ハッと後ろを見ればチャラ男さんの姿。
「…なっんで、着いてくんのっ、」
ありえない。
追いかけてくるなんて最悪。
スピードを上げて、なんとかカラオケ店からはだいぶ離れた歩道橋まで来た。
…ここまで来たらもう大丈夫だと思う。
足がすくみもう動けないかも…