君の矢印【完】



「うぶで可愛いね〜」



よからぬことを考えているような笑顔。



目が笑ってない…



ゆっくり近づいてくる顔。




「嫌っ!!」



何をされるかを悟った瞬間、体が勝手に動いてチャラ男さんを全力で突き飛ばしていた。



…なんかありえないほどの馬鹿力が出たみたい。



急いで床に落ちた鞄を拾い上げでカラオケ店を出て、走る。




お金は後でりさちゃんに払おう!あんな人がいるところずっといれない!




「いこいちゃんっ!」



ハッと後ろを見ればチャラ男さんの姿。



「…なっんで、着いてくんのっ、」



ありえない。



追いかけてくるなんて最悪。




スピードを上げて、なんとかカラオケ店からはだいぶ離れた歩道橋まで来た。




…ここまで来たらもう大丈夫だと思う。



足がすくみもう動けないかも…
< 61 / 70 >

この作品をシェア

pagetop