君の矢印【完】
side律
ああ、まじで気分がわりい。
いこいにやきもちを妬かせたい一心で、毎朝天音にネクタイを結んでもらう、そこまではいい。
ただ、学校に着くと、目黒がいる。
人懐っこい性格で、いこいとも天音ともすぐ仲良くなって、俺ら幼馴染に溶け込んでいる。
…何より人との距離感がバグってる。
今だって、いこいに勉強を教えているのか、肩と肩がくっつきそうな距離で話している。
気に入らない。むかつく。
いこいは俺のだろ。
天音はしっかりしてるし、目黒が距離を詰めてもちゃんと保つことができる。でもいこいはバカで間抜けで、男慣れしてないなら、そんな高度なことはできない。
距離の取り方くらい分かれよ。
そんなんだから、クラスの男どもがいこいのことそういう目で見るんだよ。本人は気づいてないみたいだけど。
目黒は、いこいのことが好きなんだろう。
見てればわかる。
あー、イライラする。