君の矢印【完】
見ないようにしようと目を背けても、視界に入ってくる、その姿。
教わること、教えることに夢中になりすぎて、肩がぶつかってる。
ああ、もう無理。
そこでくっついている2人に近づいていく。
「ちけぇんだよ、離れろ。」
目黒の肩を掴んで、いこいとの間に距離を作り、俺がそこに割入る。
「律くん…?」
真っ赤な顔して、そんな綺麗な目で、律くん?なんて俺のこと見上げてる場合じゃないだろ。
なんでもっと危機感がないわけ?
目黒だからいいわけ?いこいは目黒のことが好きなの?
「てめえもいちいち近えんだよ。」
「そんなつもりないんだけど…」
きょとんとした顔で言ってくる目黒。
くそっ、まじで2人とも無意識かよ。
なんか俺が心狭くて、いじめてるみたいじゃん。
「いこいも、いちいち顔真っ赤にしてんじゃねーよ。」