オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
『119番です。火事ですか?救急ですか?』

「あのっエレベーターに閉じ込められてて…暑くて体調が悪くて。
非常ボタンを押しても反応ないし、業者の電話番号も書いてないんです」

『閉じ込められているのは何名ですか?』

「私だけです」


住所を伝え少しやりとりすると、10分で着くから待っていてほしいと言われ、電話を切った。

10分?そんなにすぐ着くのかな。

いや、もう10分でもしんどい気がする…

電話をしたら妙に疲れてしまって、もう動ける気がしない。

話したことで酸素の浪費をしてしまったんだろうか。

頭がクラクラして壁に寄りかかった。

死にそうなほどつらいわけじゃないなんて思ったけど、実際はこのまま目を閉じたら死んでしまうかもしれない…

雪山の遭難のような妄想が膨らむ。


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