オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
店長がいない間、私はさっきまで使っていた施術スペースの掃除。

床をモップがけし、ベッドメイクをして道具の補充をする。

『間違えた』

今朝の言葉が頭の中をぐるぐる回る。

日中は忙しくて気が紛れていたけど、こんなふうに時間が空くと考えてしまう。

誰と間違えたんだろう。

彼女がいないと言っていたのは最初の日の話であって、その後のことはわからない。

あれから1か月以上経っているのだ。

その間に翔太くんには彼女ができていて、寝ぼけて彼女と間違えて私を…

そうだよね。所詮私は隣人でしかない。

翔太くんはやさしいから拒否しなかっただけで、お弁当だって本当は迷惑だったのかもしれない。

浮かんだ涙を手でぐいっと拭った。

明日からどんなふうに顔を合わせればいいんだろう…

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