ひとりでママになると決めたのに、一途な外交官の極上愛には敵わない
そうして迎えた誕生日前夜。
一度は泊まってみたいと憧れていたラグジュアリーホテルのレストランで、宝石箱をひっくり返したようなきらめく夜景を見ながら、目も心も満たされるようなフルコースを楽しんだ。
そして食事を終えた直後、彼はおもむろに私の隣までやって来て、片膝をついた。
『さやか。俺と結婚してほしい』
開かれたビロードの小箱には、夜景がかすむほどまばゆいエンゲージリングが入っていた。
激しい口づけの合間、息継ぎをうながすように一瞬口を離されて、足りない酸素を求めて大きく息を吸い込む。
幾度かそれを繰り返しているうちに内側を焼くような痛みは薄れ、見計らったかのように彼がゆっくりと動き出す。
『んっ、あ……っ』
ゆるく揺すられているうちに、さっきまでとは違う疼きが込み上げ、自分ものとは思えないような甘ったるい声が口から漏れ出る。
『啼き声もかわいいな。ほら、もっと聞かせて』
いつになく意地悪なセリフを耳に吹き込まれ、自分の内側がきゅんと甘く疼く。自分の体の急激な変化にどうしていいのかわからない。
耳を塞ぎたくても彼の背中に回した手を離す余裕すらなく、力なく頭を左右に振ることしかできない。
『やあ……っ』
執拗に責め立てられ、込み上げる愉悦に涙がにじむ。
『俺のさやか。ずっとこうしたかった』
『あ……っ』
『たまらないな。いやらしくてかわいくて理性が飛びそうだ。大事にしたいと思うのに、めちゃくちゃにしたくもなる』
彼は砂糖を煮詰めたようなとろりと甘い声で、恥ずかしくて思わず耳をふさぎたくなるような官能的な言葉を耳に吹き込んでくる。
いつの間にか声を抑えることすら忘れ、彼にしがみついていた。