イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
 
 そう言われてそっと開けると、別な練り香が入っていた。
 この香り。記憶が戻る。夢の中の人が作っていた練り香。侍従の香。どうして?
 
 「梅の香りのせいで夢を通して記憶が戻ったんだ。その箱の香は俺が作ったんだ。なぜか作り方を知っていた。材料と調合方法は身体が覚えている。ネットなどで材料を取り寄せて。昔の記憶で作ったんだ。信じられないよな」
 
 「これは侍従の香でしょ……夢の中の光琉先生に似た男性が作っていたものだよね」

 「ああ、多分そうだ。だから作れたんだろう」
 
 「黙っていたけど、私、小さい頃から梅の香りが何故か好きだったの。大きくなって自分で練り香を作った」
 
 「そうだったのか。お前も記憶で作ったんだろ?」
 
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