イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す

 「もう、変な光琉先生。ちょっと落ち着いてよ。こんな荘厳な神社でお式をするのに……」

 ふたりで前に出て挙式が始まった。
 下を向いて神主の言葉を聞き、祝詞をあげ、三三九度の杯を交わし、玉串をささげる。
 
 神主が最後に正面を向いた私達に向き直り、小さな声で呟いた。

 「お嬢さん。逆らわずにここまでよく来ましたね。また会えて嬉しいです」

 私はびっくりして、神主の顔を見た。するとあのときの占い師ではないか。びっくりして固まっていると、今度は彼の方を向いて呟いた。

 「あなたとは、今世ではじめて会いますね。今度こそ何者にも惑わされず言いなりにならず、彼女だけを見つめて生きなさい。そうすれば前世でふたりが得られなかったものを今世では得られます」
 

< 285 / 311 >

この作品をシェア

pagetop